RSS

フッ化水素酸エッチング

石戸谷準のステンドグラス作品は、被せガラス、あるいはフラッシュガラスと呼ばれる透明(または、わずかに色のついた)地のガラスの表面に濃い色ガラスの薄い膜が被せられた二層のガラスを使用し、フッ化水素酸という薬品を用いて濃い色ガラスの膜を段階的に溶かし去ることによって出来る色の濃淡によって繊細で緻密な絵を描く、エッチング技法を多用しているのが特徴です。

具体的な作業手順は、

先ず、被せガラスの濃い色ガラス側にカッティングシートを貼り、デザインした図柄を描きます。

次に、その図柄の輪郭に沿ってカッターナイフで切れ目を入れて行きます。

フッ化水素酸に浸けている時間が長いほどガラスが溶けて色が薄くなってきますので、もっとも薄くしたい部分から順番にカッティングシートを剥がして行くことでフッ化水素酸に浸ける時間を調整し、ガラスに微妙な濃淡をつけて行きます。

図柄が込み入ってくるほど、この「カッティングシートを剥がして薬品に浸けて」といった工程が増えてきますので、ぶどうの場合には実に60工程を超えます。

被せガラスの濃い色のガラスの部分の厚さは1ミリにも満たないですから、数ミクロンの厚さの差によって絵を描くというとても繊細な作業になります。

フッ化水素酸エッチング技法

また、エッチングの作業時には有毒ガスが発生するために、上の写真のように手だけを入れて作業ができ、有毒ガスを強制排気するための特殊な設備を必要とします。

この様に、フッ化水素酸によるエッチング技法は高度な技術を要するだけでなく危険も伴うために、フッ化水素酸によるエッチング技法によってステンドグラス作品を制作するステンドグラス作家は、日本はおろか世界的に見てもほとんど存在いたしません。